日刊マガジン

【がん細胞は肉が好き?】アミノ酸とmTORの危険な関係

ヘルスインフォメーションの
鬼頭です。

「がん細胞の餌は糖分」と
よく言われますが、
それだけで済む話では
ありません。

現代のがん治療や
予防を語るうえで、
糖質制限はもちろん、
タンパク質やアミノ酸など
他の栄養素の影響も
無視できません。

今回は、

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がん細胞の代謝の
仕組みとその背景、
最新研究から導かれる
リスクと対策
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について詳しく解説します。

がん細胞は通常の細胞に比べ、
ブドウ糖の取り込み量が
約100倍とされます。

これは
ワールブルグ効果と呼ばれ、
がん細胞が酸素の有無に関係なく
解糖系を活性化させ、
エネルギーを得ているためです。

PET検査では
この性質を利用して、
糖を大量に取り込むがん細胞を
検出します。

とはいえ、
がん細胞の代謝効率は
非常に悪く、
膨大な量の糖を必要とします。

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糖質制限だけで
がんは防げるのか?
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一部では
ケトジェニックダイエット
(糖質制限+高脂質)が
がん治療に有効と
されていますが、
現実にはがん細胞は
非常に柔軟な代謝能力を
持ちます。

糖質が枯渇しても、
グルタミンなどのアミノ酸を
代替エネルギー源として
利用できるのです。

このため、
糖質制限だけでは
がん細胞の代謝を完全に
封じることはできません。

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mTOR(エムトール)と
がん細胞の増殖
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がん細胞の増殖には
「mTOR
(哺乳類ラパマイシン標的
タンパク質)」と呼ばれる
酵素の活性
が深く関わっています。

mTORは、細胞の成長・増殖を
促進する中心的な役割を
果たす酵素で、
栄養(特にアミノ酸)によって
活性化されます。

がん細胞ではこのmTORが
異常に活性化されており、
無秩序な増殖を助長
しているのです。

これに対抗する治療薬
(mTOR阻害薬)も
開発されていますが、
副作用が強く、
免疫力の低下や他の健康リスクを
招く可能性があるため、
実用面では課題が残ります。

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タンパク質が
がん細胞を刺激する理由
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研究では、
mTORの活性化因子として
アミノ酸、
特にロイシンやシステインなどが
深く関与していることが
分かっています。

これらのアミノ酸は主に
肉、魚、乳製品、サプリメント
などに多く含まれています。

マウス実験では、
タンパク質の摂取量を
21%から4%に
制限しただけで、
mTOR活性の抑制、
がん細胞の増殖抑制、
化学療法の効果向上が
確認されました。

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栄養制限が
がん細胞に与える影響
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この研究では、
短期的にタンパク質を
制限することで、
がん治療との相乗効果を
得られる可能性が
示唆されています。

特に、
治療前後の短期間であれば、
筋肉量の低下などのリスクも
最小限に抑えられると
されています。

また、
特定のアミノ酸
(ロイシンやメチオニンなど)
の制限により、
がんの増殖信号が抑えられる
という知見も増えつつあります。

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ただし、人間への
応用には注意も必要
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これらの研究は
主にマウスモデルで
行われたものであり、
人間にそのまま適用できるかは
慎重に見極める必要があります。

特に、がん患者は治療中に
体力や筋肉量が低下しやすく、
過度な栄養制限は
かえって体調悪化を
招く可能性があります。

そこで重要になるのが、
“時期と量を調整した栄養管理”
です。

治療の前後に
一時的にタンパク質制限を
取り入れるなど、
栄養療法の新たなアプローチが
今後求められているのです。

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日常生活で
意識すべきこと
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普段から「高タンパク・低糖質」
が健康的とされがちですが、
それががん予備軍となる細胞に
“栄養過多”を与えるリスクも
忘れてはなりません。

大切なのは、
“栄養の質とタイミングに
配慮すること”です。

・筋トレや活動量の多い日は
しっかりタンパク質を摂取

・運動しない日や食べすぎた
翌日は控えめにする

・動物性タンパク質ばかりに
偏らないよう工夫する

このように
「メリハリのある食事管理」が、
がん予防にもつながると
考えられます。

 

がん細胞は糖だけでなく、
アミノ酸やタンパク質も
積極的に利用して増殖します。

糖質制限だけでなく、
mTORを活性化させる
タンパク質摂取にも注意が
必要です。

日々の食事で栄養の
質と量、摂取タイミングを
意識することで、
がんのリスクを下げる
可能性があります。

これからの健康管理には、
「バランス」「メリハリ」
「個別化」という視点が
より一層重要に
なってくるでしょう。

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