11月にもなると、朝晩が冷え込んできました。
日に日に寒くなってくるこの時期、
こんな症状でお困りの方はいませんか?
◻︎腰や膝などの痛みが増してきた
◻︎首、肩、背中のコリがひどい
◻︎腕や指先などしびれを感じる
◻︎むくみが取れない
◻︎疲労感やだるさを感じる
◻︎正しい姿勢が維持できない
特に、寒い時期は衣類を重ね着するため
身動きがとりにくく、
肩こりがひどくなったと感じませんか?
ですが、肩が痛いと思っていても
その痛みの原因は、もしかしたら
肩やその周りの筋肉では
ないかもしれません。
実は、上記に挙げた症状のどれもに
深く関わりのある組織があります。
それは…
【筋膜】
です。
筋膜とは、筋肉や骨、臓器などを包み込んで
全身をつないでいる薄い膜状の組織で、
コラーゲンやエラスチンといった
成分でできています。
コラーゲンやエラスチンといえば、
弾力のある若々しい肌に欠かせない
成分です。
つまり、筋膜は、
柔軟でありながらも強度があり、
筋肉の動きを助けたり、
体を支える役割を果たしています。
そしてさらに、近年の研究では、
筋膜が慢性痛から免疫異常などの
幅広い健康問題の治療や改善に
関わっていることがわかっています。
筋膜の健康が私たちの健康を左右する
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といっても過言ではないほどに
筋膜は健康にとって
重要な働きがあるのです。
そこで本日は、
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筋膜の不調が痛みを増加させる?!
筋膜の健康維持の重要性と
筋膜のセルフケア方法
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についてお届けします。
まずは、筋膜には体にとって
重要な働きが5つあります。
1️⃣筋肉や内臓の保護機能
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筋膜は、
「表層筋膜」「深層筋膜」「内臓筋膜」
の3層からなり、
表層筋膜は皮膚の下から皮膚を支え、
深層筋膜は筋肉を包み込み、
内臓筋膜は臓器を支える
サポートをしています。
つまり、筋膜があるおかげで
筋肉や内臓の位置が安定し
体をスムーズに動かせるのです。
2️⃣ 筋肉の動きをスムーズにする
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3層構造になっている筋膜は、
それぞれの層がツルツルと
滑りやすくなっています。
この潤滑油のような働きがあるおかげで
筋肉をスムーズに動かせるのです。
3️⃣感覚と神経の伝達
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筋膜には多くの感覚受容器や
神経が通っています。
その数は筋肉の6倍にも及び、
痛みや圧力、動きの感覚を
綿密に脳に伝えています。
筋膜からの情報を受けて、
脳は、体の状態を正確に把握し、
必要に応じて反応を調整しています。
そのため、筋膜の状態が悪くなると、
痛みや違和感を感じたり、
動きに制限が生じてしまうのです。
4️⃣血流やリンパの流れを促す
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筋膜は全身を覆うネットワークなので、
血管やリンパ管とも密接に関わっています。
柔軟で滑らな筋膜は、
血管やリンパ管を圧迫しないので
スムーズな流れを促します。
その結果、免疫細胞は体内を
循環しやすくなるため
免疫機能が向上します。
また、サラサラと血液が流れれば
各細胞に栄養が行き渡り
エネルギーがたくさん作られます。
リンパの流れも良くなれば、
体内の老廃物や余分な水分を排出できます。
つまり、健康な筋膜であれば、
代謝が高いむくみのない
元気な強い体を維持できるのです。
5️⃣免疫機能
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筋膜内にもマクロファージや
リンパ球などの免疫細胞が存在し、
感染や怪我のときなど、
いち早く対応してくれます。
(Vleeming, A., et al. (2012). “The thoracolumbar fascia: Anatomy and function.” Journal of Anatomy, 221(6), 570-575.)
また、筋膜は筋膜細胞という
特殊な細胞で満たされており、
ヒアルロン酸を産生しています。
筋膜内のヒアルロン酸は、
筋肉や他の組織との摩擦を減らす
潤滑油としての働きがある他、
保水効果によって
組織の弾力性を維持しています。
そして、ヒアルロン酸には、
炎症を抑えたり、組織の修復を
助けたりする働きがあります。
(Koh, K. H., et al. (2018). “Hyaluronic acid and its potential role in the treatment of inflammation.” Journal of Inflammation Research, 11, 37-48.)
特に筋膜が傷ついたときに
ヒアルロン酸が増えると、
炎症を和らげて治癒を促してくれます。
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筋膜の不調が痛みを悪化させる
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筋膜が緊張すると、周囲の神経を圧迫し、
痛みを引き起こすことがあります。
これは筋膜の緊張が、
痛み信号として神経を伝わって
脳に伝達されることで
「痛み」が発生しているからです。
また、筋膜の状態によって
痛みの強さも変わります。
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筋膜の緊張はなぜ起こるのか?
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筋膜の緊張は、
長時間同じ姿勢でいることで起こります。
また、偏った食事、水分不足、
慢性的なストレスでも
筋膜は弾力を失い、
硬くなってしまいます。
ここまでで、筋膜の柔軟性が、
健康に大きく関わっていることが
ご理解いただけたと思います。
では、最後に自分でできる
筋膜のケア方法について
ご紹介します!
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筋膜のセルフケア方法
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①定期的なストレッチ
全身の筋肉をゆっくり伸ばすことで、
筋膜の緊張がほぐれ、柔らかさを
保ちやすくなります。
特に体をひねるような動きや、
ヨガのポーズなどは、
筋膜を大きく伸ばすのに効果的です。
また、太極拳のような緩やかな動きも
筋膜ケアにお勧めです。
②有酸素運動
ウォーキングや軽いジョギング、
水泳などの有酸素運動は、
全身の血流を改善するので
筋膜が酸素や栄養を受け取りやすくなり、
柔らかく健康な筋膜を維持できます。
③フォームローラーでマッサージ
フォームローラーやテニスボールを使って
筋膜リリースを行うと、
筋膜の癒着を解消できます。
気になる部分にあてて転がすことで、
筋膜をゆるめ、滑らかな状態に戻します。
痛みを感じない程度にやさしく、
体重をかけすぎないように行うのが
ポイントです。
やりすぎると、逆に痛めてしまうので
注意してください。
④適切な水分補給
筋膜は水分を保つ性質があり、
体内の水分が不足すると
硬くなりやすくなります。
日中こまめに水を飲むことで、
筋膜を柔軟に保つことができます。
⑤深呼吸やリラックス法を取り入れる
筋膜はストレスに反応して
硬くなりやすいため、
リラックスすることが重要です。
深呼吸や瞑想、自然の中で
過ごす時間を取り入れると、
自律神経が整い、
筋膜の状態も安定します。
⑥姿勢を固定化しない
姿勢が悪いと筋膜に制限が生じ、
痛みが増します。
特に座っている時間が長い人は、
こまめに立ち上がって、
伸びをするなどして、
姿勢が固定されないようにしましょう。
⑦栄養バランス良く食べる
筋膜の成分である
コラーゲンやエラスチンの元となる
栄養素を取り入れることも大切です。
ビタミンC(柑橘類、パプリカ、ブロッコリーなど)
タンパク質(魚や豆類など)を多く摂ることで、
筋膜の弾力性が高まりやすくなります。
⑧しっかり寝る
睡眠中に体がリラックスすることで
筋膜も回復しやすくなります。
しっかり睡眠を取ることで、
筋膜を含めた体の修復・再生が
促進され、柔軟性が保たれます。
それでも、痛みや体調が優れない場合は、
信頼のおける専門家による
筋膜リリースやマッサージなどを
受けることをお勧めします。
ぜひ、筋膜改善で
慢性的な痛みを解消しましょう!